『いつか あなたを わすれても』/桜木紫乃(文)、オザワミカ(絵)
2022/04/28

さとちゃんはママのおかあさん。つまりわたしのおばあちゃん。
さとちゃんは、わすれん坊になってしまい、ママの名前も忘れてしまった。
わたしと、ママと、さとちゃん。
女三世代。
女同士だから通じ合うものもあるけれど、
通じ合っちゃうから、わかっちゃうこともある。
わたしの特別な日には、ママはわたしに嫉妬するのだろうか。
—
忘れてゆくことも、変化してゆくことも
静かに丁寧に描き出されていて、
それらは悪いことではなく、自然なことなんだと感じた。
ずっと、忘れてしまうことは悪いことで、
自分はいつまでも、なんでも覚えていられると信じていた。
だけど、年をとればとるほど、
些末なことが増えていくし、端々が記憶から零れ落ちてしまう。
それをとても恐ろしく 感じていたこともあったけれど、
今は、そういうもんだと、思う。
本書『いつか あなたを わすれても』でも、
いろんなことを忘れてしまう さとちゃん の姿を見ながら、
もしかしらら自分も将来、そうなるのかもしれないけれども、
恐ろしがることではなく、そういうものなんだと思える。
静かに、時々辛らつに、時々優しく、よい語りだと思う。